【望月 楓】
「灯籠流し……。
この村じゃ魂を鎮め、見送るんだって聞いたんだが、本当に盛大にやるんだな」
【美羽】
「楓さんは、死んだ後の世界って信じる?」
【望月 楓】
「俺は……ないと思っている。死んだら、それで終わりだ。
「だから、毎日、後悔しないように、生きてるつもりだ」
【美羽】
(後悔しないように……。
私は、どうしたいんだろう。
今の気持ちを伝えても、伝えなくても、後悔しそうな気がする)
【望月 楓】
「どうした?急に黙って……。もう眠たくなったのか?」
【美羽】
「楓さん。私のこと、いくつだと思ってるんですか?」
【望月 楓】
「お前はいくつになっても、可愛いよ……」
正面から見つめられて、優しく微笑まれる。
その笑顔をずっと見たいけど、それを目にするたびに、息苦しさが募る。
【美羽】
(お願い……。楓さん。そんなに優しくしないで。
じゃないと、私……)
【望月 楓】
「大丈夫か?お前、顔……赤くないか?
まいったな……寒かったから、風邪でもひいたのか?」
楓さんの手が額や頬に触れ、その度に、熱が上がるのを感じる。